食品衛生管理にHACCP発想を取り入れた行政書士の必要性
2024/03/22
現代の食品産業において、食品の安全性に対する関心はますます高まっています。日本でも、食の安全は消費者にとって大きな関心事であり、それを担保するために法律や規制が整備されています。その一方で、食品業界に従事する企業や店舗が、業務における食品衛生管理に対して不安を抱えているケースがあります。
現在は、食品等事業者は、HACCPの考えを取り入れた管理が必要となっています。今回は、HACCPについてみていきます。
目次
1. HACCPとは?
HACCPとは、食品安全に関するマネジメントシステムのことであり、ハザード分析と重要管理点(CCP)の設定により、食品の生産及び製造において発生する様々な危険を事前に予測し、予防するものです。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは、食中毒予防の三原則を基本に一般的な衛生管理の注意点とメニューに応じた注意点をあらかじめ衛生管理計画として明確にし、実施し、記録し、振り返りを行うという一連の流れのことを言います。
そもそも、飲食店において食中毒は大きなリスクです。そのリスクを軽減する手助けとしてHACCPの考え方が存在します。
2. HACCPの考え方を取り入れるのって難しそう
HACCPの考え方を取り入れるのって難しそうですよね。そもそも、横文字ですしいままでの衛生管理と何が違うのという点も気になります。
でも、安心してください。HACCPの手引書というものがあります。厚生労働省のサイトから見ることが出来ます。小規模な一般飲食店、食品添加物製造、納豆製造など各種に分かれた手引書と概要版が存在します。
まず、概要版から見ていき、その後手引書をしっかりと読み込んでいきましょう。
3. 概要版の衛生管理計画(一般的な衛生管理)
HACCPの考えを取り入れるときに1番初めに行うことは、「衛生管理計画」を作成することです。管理計画なんていうとなんだか、ちょっとめんどくさいなと思ってしまうかもしれませんね。
でも、大丈夫です。概要版のP14についている衛生管理計画のテンプレートを使って、概要版の説明を読みながら進めることで、簡単に作ることが出来ます。
ポイントは、「いつ」「どのように」ということをはっきりさせることです。
一般的な衛生管理については次のような項目について考えます。
・原材料の受入の確認
・冷蔵庫、冷凍庫内の温度の確認
・交差汚染・二次汚染の防止
・器具等の洗浄、消毒、殺菌
・トイレの洗浄、消毒
・従業員の健康管理
・手洗いの実施
このようなことが表になっており、「いつ」、「どのように」、「問題があったときにどうするか」をそれぞれ考えていきます。
4. 衛生管理計画(各メニューについて)
概要版のP15には、それぞれのメニューについての項目があります。
第1グループ:非加熱の食品です。下処理後の食材や生食で提供する食材
例:刺身、冷ややっこ
第2グループ:加熱するものや熱いまま提供するもの
例:ハンバーグ、焼き鳥
第3グループ:加熱後冷却し、冷たいまま提供したり、加熱後冷却し、再加熱して提供するもの
例:カレー、スープ、ポテトサラダ
このように三つのグループにわけて衛生管理をそれぞれ考えていきます。どのように管理すれば衛生的なのかというポイントについても手引書には書いてありますので、しっかりと共有していくことが大切です。
5. 実施記録をつけて振り返る
前段までの衛生管理計画を作成したらつぎは実施です。実施をする際には必ず実施記録をつけましょう。そして、それを振り返るところまでがHACCPの考え方を取り入れた衛生管理となります。
実施記録のテンプレートも別紙P16、17にあります。これらを毎月振り返っていきます。振り返りやすいように別紙P18にはテンプレートがあるので是非活用してみてください。
行政書士奥本聡事務所では、飲食店営業許可取得のサポートをしています。ただ許認可を取得するだけにとどまらず、その後の経営や、融資計画などについてもサポートしております。ぜひ、ご相談くださいませ!