行政書士奥本聡事務所

無店舗型性風俗特殊営業の実態と法律

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無店舗型性風俗特殊営業の規制と法律

無店舗型性風俗特殊営業の実態と法律

2024/10/31

無店舗型性風俗特殊営業は、日本の風俗産業において特異な位置を占める分野です。近年、この業態は急速に拡大し、多くの事業者が参入しています。しかしながら、その特性上、法律面での理解が必要不可欠です。本ブログでは、無店舗型性風俗特殊営業の届出について、行政書士としての視点からのべます。無店舗型性風俗特殊営業の開業や変更の届出を考えている人々にとって有益な情報を提供することを目指します。

目次

    無店舗型性風俗特殊営業の届出

    無店舗型性風俗特殊営業は、店舗を持たずして提供される性風俗関連サービスを指します。このビジネスモデルは、近年急速に広がりを見せています。

    というと、なんだかすごく盛んであるイメージがありますが、店舗型性風俗特殊営業は非常に規制が厳しくほとんどの地域で新規営業を認められていないという実態があります。ですので、性風俗特殊営業を新たに行いたいという人のほとんどは無店舗型性風俗特殊営業なってしまうというのが本当のところです。余談ですが、店舗型性風俗特殊営業にはいわゆるラブホテルなども入ったりします(4号営業)。能登地震のおりにラブホテルが行政の支援対象外となってしまったのは、風適法の許可をもらっているからということでした。(その後、一部は公的支援の対象となったようです)


    さて、店舗型よりも気軽にスタートが出来る無店舗型営業ですが、行政の監視が厳しいため、適切な営業許可や手続きを怠ると、重大な法的リスクを背負うことになります。また、営業中のトラブルや客とのトラブルにも配慮が必要です。

    急成長する市場:無店舗型性風俗特殊営業の背後にある事情

    無店舗型性風俗特殊営業は、特に近年の多様化するニーズに応える形で急成長を遂げています。この業態は、従来の店舗型風俗業と異なり、顧客のニーズに対してフレキシブルなサービスを提供することが可能です。特に、インターネットを活用したマーケティングやコミュニケーションは、事業者にとって重要な要素です。 しかし、無店舗型性風俗特殊営業には、法律上の複雑な課題が伴います。各地域の条例や法律が厳格化している中、事業者は法令を遵守し、必要な手続きを適切に行うことが求められます。特に、行政書士としての視点から、適切な営業許可の取得や、トラブル回避に向けたリスク管理が必要です。

    風適法において、いくつかの規制や届出義務が課されていますので、そこに注意してみていきましょう。

     

    無店舗型性風俗特殊営業の届出義務

    無店舗型性風俗特殊営業を開始するためには当然届出が義務付けられています。しかし、届出をしなくてはならないのは、営業を開始する時だけではありません。また、営業開始時に必要な書類の中には公的なテンプレートが無いものもあります。例えば、事務所等の使用許可書については、警察署のテンプレートがありません。それぞれの専門家が作成したテンプレートしかないのです。もちろん、これで問題はないのですが、初めて申請する場合はちょっと面食らってしまいますよね。

    その使用許可書についても、建物の所有者から許可をとるだけで良い場合と、それだけでは足りない場合がありますので注意が必要です。一番スムーズにいくのは、物件の賃貸を決めるときに不動産屋さんに相談しておくことです。オーナーさんもわかっているので、協力的に行くケースが多いです。どうしても、オーナーさん任せになるため時間がかかってしまいます。

     

    さて、続いて、変更届出をしなくてはいけない場合について説明いたします。基本的に開業時に申請した事項について変更があった場合は届出が必要です。

     

    • 店名
    • 営業者や管理者の変更
    • 営業者や管理者の住所等の変更
    • 法人役員の変更
    • 事務所の構造変更
    • 受付所や待機所の変更、追加、廃止

     

    等です。これらは届出が必須です。忘れたままにしていると、警察からペナルティが課されることもありますので十分に注意が必要です。

    知っておくべき規制:事業者必見のガイド

    無店舗型性風俗特殊営業は、いわゆる風営法(風適法)によって規制されています。ですので、まず知っておかなくてはいけないのが、風営法です。この法律に則って、届出を行い運営していかなくてはなりません。ここには、規制事項が書かれています。これを破ると警察から指摘があります。初めはただの警告なのですが、それに従わない場合は罰則を受けることになります。法令に書かれているのは次の規制です。

     

    1. 広告宣伝の禁止(法第三十一条二の二)
    2. 接客従業者に対する拘束的行為の規制等(法第三十一条の三)

     

    ここでは1つ目の規制についてみていきます。
    この広告宣伝の禁止とはどういうことでしょうか? まず、法律に書かれていることを見てみましょう。

    届出をした者でないと宣伝してはいけない

    ・届出をした者でも、その無店舗型性風俗特殊営業以外のお店の広告宣伝をしてはいけない

     

    と、こういうことが書かれています。その他禁止されているのは次の事項です。法二十八条第五項の規定が準用されます。

    ・広告制限区域等において、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものを表示すること

    ・人の住居にビラ等を配り、又は差し入れること

    ・広告制限区域等においてビラ等を頒布し、又は広告制限区域等以外の地域において十八歳未満の者に対してビラ等を頒布すること

    ・その営業につき、清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をすること

     

    どれも、注意していれば問題ないことかと思いますが、これらは絶対に守る必要がありますので、注意しましょう!

    接客従業者に対する拘束的行為の規制等

    それでは、二つ目の規制についてみていきます。

    ・接客従業者に対する拘束的行為の規制等(法第三十一条の三)

    接客従業員とはいわゆる「キャスト」さんのことです。「客に接する業務に従事する者」のことをここでは接客従業員と言います。
     

    ・接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務(利息制限法(昭和二十九年法律第百号)その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む。以下同じ。)を負担させること。

    簡単に言いますと、お店を辞めるならすぐに借金を払うという条件で不当に高い借金を負わせてはいけないということです。
     

    ・その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた接客従業者の旅券等(出入国管理及び難民認定法第二条第五号の旅券、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項の運転免許証その他求人者が求職者の本人確認のため通常提示を求める書類として政令で定めるものをいう。以下同じ。)を保管し、又は第三者に保管させること。

     

    こちらは、身分証明書を借金の担保にしてはいけませんということですね。そして、こちらです。

     

    ・接待飲食等営業を営む風俗営業者は、接客業務受託営業を営む者が当該接客業務受託営業に関し第三十五条の三の規定に違反する行為又は売春防止法第九条、第十条若しくは第十二条の罪に当たる違法な行為をしている疑いがあると認められるときは、当該接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で当該違反行為の相手方となつているものが営業所で客に接する業務に従事することを防止するため必要な措置をとらなければならない。

     

    売春防止法を参照しますと

    第九条 売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。


    第十条人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
    2前項の未遂罪は、罰する。
     

    第十二条人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。

    です。つまり、接客従業員とお客さんが売春しているのではないかと疑われるときは、そうならないようにする義務があるということです。

     

    無店舗型性風俗特殊営業は、リスク管理が非常に重要です。この業態は、店舗を持たずにサービスを提供するため、法的な境界が曖昧になりやすく、さまざまな規制やトラブルに直面する可能性があります。

     

    風俗営業法や労働基準法など、関連する法律を理解し、遵守することで、重大な法律違反を避けることができます。 そして、事業の透明性を確保することも大切です。さらに、トラブルが発生した際には、適切な対応ができるよう、リスク管理対策を事前に講じておくことが重要です。無店舗型業態を安全に運営するためには、これらのリスク管理を徹底し、法律との整合性を保つことが不可欠です。

    無店舗型性風俗特殊営業にまつわるその他の事柄

    無店舗型性風俗特殊営業についてのコラムはいかがだったでしょうか? 事業者の方はすでに知っているよという方も多かったかと思いますが、これから始めようという方には知っていて欲しい規制の話、届出の話を記載しました。届出には、受付所についても書かれていますが、神奈川県では受付所を設置することが出来ません。ただし、事務所が神奈川県にあるが東京都に受付所を持っているという場合は記載が必要です。なかなか、ここら辺は難しいところです。

    無店舗型性風俗特殊営業と直接的にはかかわりがありませんが、私は接客従業員(キャスト)の方がストーカー被害にあっているということでサポートをしたこともあります。その時に、店舗側の記録などもキャストの皆様を守る大切な要素になってきます。ぜひ、キャストの皆様を守るような運営!

     

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