貨物自動車運送事業での台数変更についての重要事項
2024/06/02
この記事では、貨物自動車運送事業において台数変更を考えているときに注意すべき事項について述べていきます。貨物自動車運送業は、物流に欠かせない大切な役割を果たしていますが、車両の入れ替えや廃車、新規導入などにより、台数変更が必要となる場合があります。この際、法的規制や手続き、契約内容の変更など、多くの重要なポイントが存在しています。本記事では、これらの事項について詳しく解説していきます。
目次
貨物自動車運送事業とは
貨物自動車運送事業とは、貨物を自動車で運ぶ業種のことです。一般消費者から企業まで幅広い需要に応え、様々な物品を運搬します。荷主からの依頼を受け、配送ルートや納期、運賃を決定します。運転手は安全な運転を心がけ、荷物を届けるために様々な努力をします。また、運送会社はこの業種が安全かつ公正に行われるように常に注意しなくてはなりません。近年では、高齢化や運転手不足による課題もありますが、貨物自動車運送事業が支えている社会基盤を考えると、欠かせない存在であることに間違いありません。
貨物自動車運送事業はお客様から依頼のあったものを有料で運送する事業とお考え下さい。軽自動車の場合は、貨物軽自動車運送事業となります。貨物軽自動車運送事業は届出制であり、比較的簡単に許可が撮れるのですが、普通車やトラックを使った貨物自動車運送事業の要件はなかなか大変なものがあります。
台数変更に伴う手続き
貨物自動車運送事業において、台数変更を検討する際には、手続きが必要です。法令により、車両に関する情報を正確に管理する必要があり、的確な台数変更手続きが不可欠です。
実は、貨物自動車運送事業の許可をもらった後に行う台数変更には、「事前の変更届」となるものと「事前の変更承認願」となるものの2パターンがあります。
事前届というのは、「運輸開始前の変更届」を提出する場合です。こちらは届出ですので、そこまで大きくない変更というイメージです。貨物法第9条第3項で定める届出の中で、貨物則第6条に規定する項目にあたります。
一方で、「運輸開始前の変更承認願」は認可となり、申請をしなくてはなりません。申請となると不許可というものも出てきます。貨物法第4条第1項第2号、貨物則第2条で規定する事業計画に記載する項目に関する変更は、原則としてこちらの「変更承認願」となります。
変更承認願が必要になるパターン
それでは、まずは大きな変更の方、「運輸開始前の変更承認願」を提出するのはどのような場合か見ていきましょう。
・親会社、子会社、グループ会社が欠格要件に該当する場合
→密接関係者が許可の取り消しを受けて5年を経過しない場合となります。
・変更に係る事業用自動車の数と申請日前3か月以内において増加した事業用自動車の数との合計が、申請日から起算して3か月前時点における当該営業所に配置する事業用自動車の数の30%以上の増加となるとき。ただし、増車する合計数が10両以下であるときは届出でOKです。
・5両未満になる、もしくは5両未満のままの場合
・変更に係る営業所における行政処分の累積違反点数が12点以上である場合
・変更に係る営業所について、申請日前1年間に、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導による総合評価において、E判定の評価を受けている場合
です。
車両使用停止等の行政処分を受けた事業者には違反点数がついてしまいます。その違反点数が累積すると、不利な条件になってしまうのです。累積点数が12点以上の場合は、行政処分が終わってから6か月間は増車の申請が出来なくなってしまいます。点数は行政処分から3年間は消えませんので、注意が必要です。
運輸開始前の変更届となる場合
さて、前の項目では、「運輸開始前の変更承認願」が必要な場合をみてきました。今回は、「運輸開始前の変更届出」で大丈夫なパターンです。
こちらは、前項でない場合と考えるとよいでしょう(数学で言うところの“補集合”というやつです)。
例えば、増車が3か月前と比べて30%未満である場合や10両以下の増車の場合は届出だけで大丈夫となります。
いくつか例をあげて確認しましょう。
3か月前の台数10台、申請後の台数13台 → 増分3台 割合30%
→10両以下の増加であるため、「運輸開始前の変更届」でOKです。
3か月前の台数38台、申請後の台数49台 → 増分11台 割合28.9%
→増加した割合が28.9%ですので、「運輸開始前の変更届」でOKです。
3か月前の台数38台、1か月前は35台、申請後の台数49台 → 増分11台 割合28.9%
→このように一時的に台数が減ってしまったとしても、基準は3か月前であるため、「運輸開始前の変更届」でOKです。
変更時における注意点
貨物自動車運送事業において、当初の予定が変更がなることは珍しくありません。事業規模を拡大することになれば、当然車が必要になります。順調に行っていることの証拠ともいえますね。
そんなときに注意しなくてはならないのは、日ごろの点検や法令を遵守しているかどうかということです。監査が入ってしまうと違反点数が増えてしまうことは珍しいことではありません。常日頃から法令に則り、点検や準備をすることが大切です。
貨物自動車運送事業は、許可を取れば終わりではなく巡回指導の対策なども大切になってきます。ぜひ、行政書士にご相談くださいませ!